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最後の夏 

飼っていた犬が死んでしまった。

15年というから人でいえば90歳位になるだろう。

今年の夏場は苦しそうだった。散歩の時、歩けなくなったり、倒れたりもした。

多分、最後の夏になるだろうとは思っていたが、咳込みながらも今まで持ちこたえていた姿は痛々しかった。

前夜、洗濯物を干しに出た時様子を見たが、うずくまったまま殆ど動かなかった。荒れた毛に覆われた背中が僅かに上下していた。辛うじてそこに生命があるのが分かった。

消え入りそうな彼に向かって名前を読んだが、反応はない。初秋の夜の下、少しだけ彼を眺めていたが、瞼が開くことはなかった。

次ぎの朝、私が仕事に出た後、暫くして彼は逝ってしまた。

珍しく、しきりに鳴くので親父が見に行ったところ、横たわったままコチラを見ていたらしい。

差し向けた水も口にしない。長い間世話をしてもらった主人の顔を見て安心したのか、まもなく目を閉じて、そして静かに息を引き取ったのだそうだ。

飼い始めたのは私だったのか妹だったのか。家に来た時の事、田んぼで跳ね回っていた時の事、真夏にタライで洗ってやったこと、行方不明になった時の事、コオロギを追いかけ廻していたこと、車にはねられた時の事、様々なことが思い出される。

彼がいた15年のうち、一緒にいたのは約半分。最後の2年は一緒にいたが、殆ど何もしてやっていない。少し回復した時に散歩にでも連れていってやってれば。少し悔やまれる。

翌朝からは親父が彼の容態を話題にすることもなくなり、ひとりで散歩している。夜は晩飯の残りをどう処分しようか思案しているようだ。

洗濯を干しに行く倉庫までの間に彼の小屋が今まだある。

分かってはいるが、声をかける。

「ジュン」

当然、彼はいない。

少し肌寒い夜の方々で秋虫の鳴き声がしている。
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