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いつかどこかで 

劇的に若返っている。

新聞の折込みチラシ。どうやら美容用の薬のようだ。

それをただ飲むだけ。64歳の女性が僅か1ケ月足らずで、劇的に変わっている。どう観ても30代にしか見えない。

しみ、そばかす、しわ、たるみ、いわゆる老化の四大要素を全てなかったことに出来るらしいからスゴイのだ。

チラシには体験者の使用開始から終了までの顔写真が掲載されているが、これが泣かせる。

使用開始前の顔は四大要素の見本市。それが2週間後には半減。1ケ月後には全てナッシング。見事に若返っている。若返りすぎ。

というか、ギャップありすぎ。老け顔作りすぎ。安いコントの老けメイクじゃないんだから。あまりのGC全開ぶりに切なくなってしまうじゃないですか。

この時代にあって、ご丁寧に体験者の氏名まで書いちゃて。そうですか。

それで、いったいこのバイトの報酬はいくらなの。

その薬、定価19800円のところを今回は出血大サービスの特別価格9800円だそうだから、大した報酬でもないでしょう。

きっと、掛け持ちでバイトしているんですよね。

いつか、また、別の紙面で会いましょう。

別の違うお名前ってのはナシですよ。

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民意 

結果、民主党の圧勝だった。

大方の予想通りであったが、これほどまでとは。

ついに政権交代。とは言われているが、現行の小選挙区比例代表併用方式での選挙はこのままでイイのだろうかと思ってしまう。

かなり疲弊した制度ではないかと思う。

そもそも国の議員を選ぶ選挙である。なのに、異常に細分化された選挙区。1票の重みの格差も大きい。

数十年前ならいざ知らず、交通も情報も発達した今の時代、もっと大きな選挙区で選挙をやるべきだと思う。無駄に道路を作ったりする、おらが村の国会議員は要らないである。

全国を有権者数が同じ位の10選挙区程度に分ける。議員定数も一定とする。そして、死に票の「死に票たる由縁」を軽減するために、1名に投票するのではなく、1位から3位程度までを投票するのだ。

比例代表制で気に入らないのは、その党の名簿順の上位から自動的に当選者が出ることだ。

同一党内の全国区の立候補者の中から、1位から3位程度までを併せて記載して投票したらどうか。その党の得票の多い者が上位となるのだ。そうすれば選挙区で敗退した者が復活しても、今ほど違和感は少ないハズである。

そして、お次は総理大臣選。

いつまでも、現在の互選方式でいいのか。

アメリカの大統領になるためには何が必要か。党内での指名獲得は当然である。それよりなりより、あのバカでかい国土を走り回り、直接有権者を納得、説得するだけの色々な能力が必要とされる。そして、その戦いに勝利した者があの大国を治めているのである。

政権交代。吉と出るか凶とでるか。一度、やらせてみないと判らないのは確か。

しかし、もう少し民意が反映される選挙制度であってほしい。

自分達で選んだ政治。

そうすれば、今までより納得できるのでは。

その結果がどうであったとしても。

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うちへかえろう 

我社では、毎週水曜日がノー残業デーである。

終業時間後後、きまってあるアナウンスが流れることになっている。

「組合員のみなさん、本日はすいすい水曜日です。残業申請をしていない方は早目に帰宅しましょう。」

要は、残業せずにすいすい帰りましょう。すいすいの水曜日だから。なんて具合なんだろうけども、あまりに事務的な口調と味気ない音楽なので効果の程は分からない。

いつも思うのだが、流すなら、もっと、劇的に帰りたくなるようなものを流せばいいのではないか。

蛍の光ではどうか。

閉店間際のパチンコ屋みたいで、皆そわそわするかも知れない。

オフコースの「さよなら」では。

もう終わりだね さよなら さよなら さよなら この辺りのフレーズは直球すぎるが、基本別れの歌なので、帰るどころか切なくなってしまう。もうすぐ外は白い雪。なんてのは冬にはイイかも知れない。しかし仕事とは何の関係もないではないか。

「夕焼け小焼け」や「故郷」も郷愁を誘うが、思わず実家にまで帰ってしまう奴が出てくるかも。

「ドナドナ」では悲しすぎる。完全に打ちひしがれてしまう。

個人的にはドボルザークの「新世界より」の第二楽章が結構こたえると思う。

これに日本語歌詞をつけたのが「遠き山に陽は落ちて」。

遠き山に 日は落ちて
星は空を ちりばめぬ
きょうのわざを なし終えて
心軽く 安らえば
風は涼し この夕べ
いざや 楽しき まどいせん
まどいせん

心底侘びしい。終わりの辺りは意味わからんが侘しすぎる。

遠い日の少年時代。キャンプファイヤーの夜。空を見上げ、わけも無く何だか家に帰りたくなった。

思い出したら、目頭が熱くなってきた。

帰りたい。

何処へだ。

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夏の泣き声 

もう、コオロギの鳴き声か。

いつもより早く帰宅し、縁側で夕涼み。

随分、涼しくなった。

煙草をふかす。

汗だくだった肌に、微かな風が心地いい。

日中は暑かった。

久しぶりに午前中から現場に出たため、沢山汗をかいた。

臭う。次の仕事の前にシャツを着替えた。

月末の仕事の打ち合わせに市内の幼稚園へ向う。本来ならノーネクタイ。しかし、初対面の相手、暑いとは思いながらも、そうもいかない。

締めるなり噴出す汗。

ハンカチを忘れたことに気づいた。着替えた時に置き忘れたらしい。

園内を見て回る。流れる汗。仕方ないので手で払う。

事務所に通されソファーに座るよう促された。厚い。クッションが厚い。暑い。全身暑い。

随分若そうな保育師さんと目が合う。年のころは二十歳前後か。あまり効いているとは思えないエアコンの中にあっても、汗ひとつかいていない。

そう云えば、若い女性は何故いつも涼しげなのか。化粧のせいか。ひょっとしたら、汗などかかない構造になっているのではないか、と思えるほどに。

流れ出す汗をそれとなく拭きさりながら、園長先生の話に相槌を打っていると、先ほどの涼しげな保育師さんがお茶運んできた。

いただきます。熱い。お茶が熱い。

いきなりの温熱性入力に意表をつかれた体温調節中枢は、全身の毛穴を一斉に解放。腹から熱い。全身暑い。

止めとなく流れる汗。打ち合わせもままならない。

発汗は体温を下げる作用をもつ。ただし、それは汗が蒸発した場合に最大となる。蒸発するとどうなるか。すなわち臭う。このままでは臭う。

いや、既に臭っていたのでは。

そういえば、お茶の量が多かったような気もする。

早くお引取り願いたかったのか。

涼しげな目元が一瞬曇ったようにも見えた。

どうにか、打ち合わせを済ませ、外に出る。

車に乗り込む。見送りされているので、乗り込まざるを得ない。案の定、更に暑い。

滝のような汗。

にこやかにその場を後にしたが、汗は止まらない。

車中にタオルがあったことに気づいて、思いっきり顔を拭いた。

あの涼しげな保育師さんも、きっと汗はかいているハズ。

ただ、サラサラと薄っすらと。

そう、若い人間の汗はそうなのだ。そして、だからサラっと乾くのだ。そうだ、会社の若い連中もそんな感じだ。

それならば、私のこの汗は。

何か体内の「いけない成分」でも一緒に分泌されているのだろうか。

じっとりと脂汗。

しっかりとオヤジ臭。

コロコロコロリー、コロコロコロリー。

そっとコオロギの泣き声を真似してみる。

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